持続可能な未来への船出!美しい島の自然と暮らしをいつまでも

 2022/01/05

2021年10月、大島町立さくら小学校4年生の生徒たちに向けた出張授業が行われました。授業を担当したのは同じ東京諸島の島、新島に暮らす西胤さんとTIAMのいと~まん。

西胤さんは新島村商工会に勤務されていて、日々島の商工業者の経営支援や地域振興に取り組まれています。人当たりのよさや親しみやすい人柄、そして実行力ある活動家で多くの信頼を寄せる頼れる兄貴的存在です。

そんな西胤さんが取り組む事業の一つとして今回の出張授業のテーマでもある「新島ミライプロジェクト」があります。

昨今の地球温暖化による異常気象がもたらす巨大台風をはじめとした自然災害や、海洋ごみによる海の汚染問題は日々ニュース等で目にしない日はないほどその頻度は増え、深刻な状況になってきているように思います。

新島をはじめ東京諸島にとってもそれは当然無視できない状況で、度々島を襲う大きな台風をはじめとした自然災害による被害や海洋ごみによる環境への影響など、年々増大しているように思えます。さらに人口減少や高齢化による産業の衰退といった過疎地域ならではの問題も頭を悩ます課題です。このまま目をつぶっていてはやがて島に暮らし続けることが困難な状況に陥ってしまうかもしれません。そんな最悪なシナリオから目を背けずに、今から課題をしっかりと捉え、島民全員が自分ごととして意識して取り組むことで解決への糸口を探るようなアクションへと進んでいく必要があります。そんな想いからはじまった活動が「新島ミライプロジェクト」です。

新島では年間100トン以上という大量の海洋ゴミが流れ着き、ゴミ処理はもちろん、島の美しい景色を損ねる大問題となっています。一方で、魚の水揚量は年々減少し、漁業や水産加工業は苦境に立たされています。このまま海の環境が悪化していけば、海とともに生きてきた島の暮らしが立ち行かなくなるかもしれません。
そこで、新島水産加工業協同組合は、海の恵みから生まれた伝統食「くさや」を受け継ぐ者として、海と共に生きる島の暮らしを未来へつないでいく活動をはじめました。それが「新島ミライプロジェクト」です。

HOSSY PROJECTとは?

では、どうやってみんなで海の環境について考え取り組んでいくための意識醸成を図っていくのでしょうか?そこで登場するのがアルミ製干物型洗濯バサミ『HOSSY』を起点としたプロジェクト『HOSSY PROJECT』です。

「HOSSY」が生まれた背景には、プラスチック製の洗濯バサミが引き起こしている問題がありました。

島の日差しは強く、潮風の影響も無視できません。そのためプラスチック製の洗濯バサミはすぐに劣化します。劣化したプラスチック製の洗濯バサミは風で飛ばされたり、使えなくなり捨てられたりして、そのうちの一部は海へと辿り着きマイクロプラスチックとなり海を汚染するやもしれませんし、すぐ劣化するゆえに何度も買い替え交換されてプラスチックゴミを増やしてしまう懸念もあります。

一方で、HOSSYはアルミ製で耐久性に優れているので何度も買い替える必要がありません。何より脱プラスチックへの意識が高まります。日々の暮らしの中にHOSSYが存在することで、海の環境について考えるきっかけが生まれるのです。そして、このデザイン、そう「くさや」です。くさや(干物)という伊豆諸島が誇る伝統的な食文化と、漁業をはじめとした産業を次の世代につなげていく。そんな島の未来について、日々の暮らしの中で考えてもらうきっかけをHOSSYはつくっているのです。1番の目的はそんな“気づきの瞬間を与えられる存在”になることだと、西胤さんは生徒たちに伝えます。

「新島ミライプロジェクト」第1弾として、「Hossy」が新島のすべてのお宅へ配布(1家庭につき20個)されました。海を汚すプラスティックゴミを少しでも減らしていくことを目指す新たなアクションです。

さらに子供たちに伝えたいこと

「新島ミライプロジェクト」や「HOSSY」について子供たちに分かりやすく丁寧に伝えていく西胤さん、見た目にも可愛い「HOSSY」がなぜ作られたのか?プロダクトの背後に隠れている目的やストーリーを丁寧に伝えることで、ものづくりやデザインの本質についても教えていきます。

ただ可愛いだけじゃない「HOSSY」、その背後には島の環境や社会が持つ課題について考えるきっかけを与えてくれるツールとしての側面を持っていること。様々な課題を起点に、人々の繋がりや数々の経験や知識から組み上がるコンセプト、そして代々引き継がれてきた技術などが積み重なって「HOSSY」という一つのプロダクトがこの世に存在していること。ものづくりの奥深い世界を垣間見た生徒たちでした。そして何よりこれからの社会にとってそんなソーシャルグッドなものづくりは外せない大切な視点だといえます。

続いて話題はSDGsへと移ります。

「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」略してSDGs。

「誰一人取り残さない社会」をつくるために、2015年に国連の全ての加盟国が合意した世界共通の目標です。私たち一人一人が日々の生活の中でSDGsが定めた17の目標を意識し続けるためには例えば「HOSSY」のような「気づきの瞬間を与えてくれる存在」が必要です。そんな存在が生活の中に多く存在するほど、17の目標を達成するために具体的に出来ることを考え実際に行動に移していく気運が高まります。

いと〜まんはそんな17の目標を達成するために、地球丸という名の船に乗ってチームとして取り組んでいくことの大切さを伝えます。

地球丸を沈めないために、持続的に進めていくための推進力を維持する。進めていくための推進力となるのがSDGsで定めた17の目標達成に向けたアクションの実行です。みんなは17の目標のうち何ができるだろう?今から一緒に考えていこう、と語りかけます。

例えば、「HOSSY」は4つの目標、11番目の「住み続けられるまちづくりを」、12番目の「つくる責任つかう責任」、14番目の「海の豊かさを守ろう」、そして15番目の「陸の豊かさも守ろう」に該当します。

HOSSYの可愛いデザインを楽しみながらSDGsの目標に近づける活動に一緒に参加するもよし、自分に出来ることを考えて別の目標の達成に貢献するもよし、約束の年である2030年までに出来ることをみんなで考えながらアクションにつなげていく。地球丸の乗組員としてできることを一緒に考え続けよう、より良い持続可能な未来のために。

さぁ、一緒に地球丸に乗り込もう!

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