在りたい生き方から島での暮らしを考える2Days『暮らし探究』をふりかえる
2024/03/27
昨年に引き続き、移住・定住をテーマにした現地滞在プログラム『暮らし探究』を実施しました。日本全国、各地域で盛んに取り組まれている移住・定住に向けた施策は、大島においても当然急ぐべき大きなテーマとなっています。
参加者がそれぞれのルートで伊豆大島に来島
今回のプログラムには、4名の方にご参加いただきました。
伊豆大島は東京の竹芝港以外にも熱海や横浜、調布(空路)など、8か所のターミナルと繋がっています。参加者の中には熱海から来島された方もいました。東京から距離が近い上に、こんなにも内地に玄関口があるのは大島の強みです。
全員が揃い、港で顔合わせをしてからコワーキングスペース『Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGO』へ移動。自己紹介タイムです。
相手を知る時間、自分について話してみる
まずは配られたワークシートにそれぞれ自分のことを書きました。名前、出身地、趣味、仕事、得意不得意なコト…。様々な話題があることでお互いの共通点を見つけることが出来ますし、相手を理解する重要なポイントになってきます。
次に目の前の席の人とシートを交換し、お互いの似顔絵を描きました。相手の細かいところまで表現する人、キャラクター調に描く人、それぞれの個性が出ていて皆さんの緊張もほぐれているようでした。
そして完成したワークシートを発表・共有し、その後のランチタイムではアーティストや音楽、海、離島に関する共通の話題で盛り上がりました。
運動好きの方が多く、お弁当を食べた後は外でサッカーやディスクで軽く体を動かし、交流を深めました。
伊豆大島を知るため、東京諸島を知る
このプログラムは『伊豆大島を知ること』からスタートしました。はじめに前提知識をインプットすることにより、よりリアルに暮らしを構想できます。
伊豆諸島最大の活火山の島であるこの島には日本唯一の砂漠・裏砂漠や3つの国際優秀つばき園、あんこ文化など、大島ならではの魅力的な特色があります。
プレゼンテーションを聞いた参加者の方々からは食料自給率問題や火山についての質問があり、どちらも東京の島ならではの暮らしに関わる重要なキーワードであると感じました。
大島フィールドワーク&空き家物件ツアー!
イベント初日は久しぶりに晴れので行程を少し変更し、島を巡るフィールドワークを行いました。(島は天候に左右されることが多いので臨機応変に対応します。)
一番初めに訪れたのは農産物直売所「ぶらっとハウス」。ここでは夕飯に食べる野菜を調達したり、大島牛乳の生乳100%でつくったミルクジェラートをいただきました。
他にも「バームクーヘン」の愛称で親しまれる、高さ約25m、長さ約630mに渡り続く地層の断面が大迫力の地層大切断面やパワースポットである泉津の切り通しを巡りました。大島の自然が生み出した壮大な景色、その空気感に圧倒されます。バームクーヘンを見て「美味しそう〜」と言っていた方もいました(笑)。
続いてはメインの空き家物件巡り。
大島には1,000件ほどの空き家があると言われていますが、そのほとんどが借りられる状態ではありません。その理由の一部として、「年に一度子供たちが帰ってくるから」「物置として使っているから」などの声があるそうです。
そんな現状の中、今回は物件案内人で大島町議会議員も務められている高橋千香さんと共に、2件の物件を見学してきました。
一軒目は長屋タイプの空き家でした。自然に囲まれた場所にあり、家は昔ながらの雰囲気で縁側もありました。静かな場所だったのでここの縁側で自然を眺めながら一人ゆっくりする時間を作るのに良さそうです。
二軒目は改装中の空き家でした。部屋が3つもあり、シェアハウスとしても利用が出来そうな家でした。林に囲まれた広い庭もあり、畑やBBQなども楽しめそうです。
『島民×参加者』が混ざる島食材ごはん会
夕食は大島産の野菜と大島のブランド豚であるかめりあ黒豚のお肉でしゃぶしゃぶパーティーを開きました。そして島の料理で有名且つ人気のある島寿司をみなさんと作りました。参加者の方々のネタの乗せ方が個性豊かでオリジナル島寿司が完成しました。ネタをクロスするように乗せたり、ネタの上にさらにハンバ海苔を乗せてみたり…「正解はなんだろう?」とみんなでワイワイ話しながら作りました。
会場の『伊豆大島クエストハウス』は大島で探究や挑戦したい人々が暮らすシェアハウス。交流会にはUターン、移住者、多拠点の方、他の島から来た人など様々な人が集まりました。集まった島民の職業も様々で、畜産業、宿業、ガイド業、建設業、福祉関係、地域メディアなど業種を超えた方々が集まりました。島の地域事業、移住したキッカケ、島あるあるなど島暮らしのリアルな情報が飛び交う賑わいのある夜になりました。
ゲストハウスで移住者カフェトーク
翌日の天気はあいにくの雨。天気のおかげなのか、参加者が宿泊に利用した宿に集まると、自然と移住者と参加者とのトークセッションが始まりました。お話ししてくれたのは、島内の福祉施設である『大島恵の園』で働く中本なずなさんと、『ゲストハウスKOIZUMI』を営む小泉麗子さん。
移住しようと思う人たちが不安に感じる、島民との人間関係や、働く場所など、自身の経験を交えてお話ししてくださいました。参加者の皆さんは、実際に移住をして島に暮らす先輩方に質問をしたり、今やりたいことを話したり、心強い言葉をもらったりと、有意義な時間を過ごしました。
島がある暮らしを仮想し、言葉にしてみる時間
これから島と関わっていくのかどうか、考えていく中で重要になってくるのはやっぱり「家」です。
最初に運営メンバーより島暮らしの心得や島で暮らしていく際のヒントや参考になる情報などをプレゼンテーションしました。
続いて行ったのは『仮想!島のある暮らし探究ワークショップ』。参加者の方々には、1日目から島のある暮らしをテーマに頭の中でイメージをしていただきながら過ごしてきたこともあり、皆さん思い思いに自由に描けたようです。その後はみんなで共有タイム。私たちスタッフもワークに参加し、島でやりたいことから考えてみたり、島の問題から考えてみたり、住みたい家から考えてみたりと、自分に合う暮らし方を発表し合いました。
フィールドワークでよりリアルを知った視点から考えた島暮らしは、どれも現実味を帯びていながらも、島特有の非日常的な環境だからこそしたくなる暮らしのスタイルだと感じました。
改めて、実際に現地や移住した方々の元へ足を運ぶことの重要性を実感したところで、実際に移住して焼き鳥屋さんを開業した方のお店で振り返りランチをしました。島のある暮らしを仮想したことで、今後どのようにしていきたいか話が盛り上がりました。島特有の問題と向き合いながらも、みなさん前向きに考えている様子でした。
最後に参加者の方のリクエストで波治加麻神社を訪れました。言葉は交わさず、その場に佇む空気感を感じる時間もまた、自分を見つめ直す良い機会になったように感じます。
この繋がりは宝です。
これにて、2日間にわたって行った現地滞在プログラム『暮らし探究』は無事に終了しました。最後に参加者の皆さんからの感想やコメントを抜粋してお届けします。
「今回伊豆大島に来たのが初めてだったのいうのもあり、そもそも島とは何かから伊豆大島がどんなところかをレクチャーのみならず、現地で生活する人の生の声を聞くことができたので、より身に染みるような体験だった。」
「移住者の生のお話しが良かったです。」
「伊豆大島での物件の状況について感覚で知ることが出来て良かったです。 地方あるあるの、物件がネットなどに載っていなく、人のつながりや紹介で見つかることを伊豆大島でも感じました。 物件を見ることで、今後自分がやってみたいことのイメージが膨らみました。また、島民とのごはん会で島の文化や自然が織りなす食にふれることができ、とても新鮮でした。」
「もっと色んな暮らしを見てみたいと思った。」
「自分がやりたいこと(仕事だけでなく遊び)が伊豆大島でもできるという関わりができると、自分の人生の選択の中に「島」という選択肢を持つことができ可能性が広がるなと感じた。」
「自分が動かないと何も変わらない。」
ありがとうございます。
皆さまからの貴重なご意見を参考に引き続き暮らしの在るべき姿を皆さんと考える機会をつくって行けたらと思います。ご参加いただいた皆さま、ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました!!
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