新しい旅行業のカタチを考える合宿『火おこし-Hiokoshi-』実施レポート
2022/11/22
伊豆大島ミライプロジェクトによる新しい旅行業のカタチを考える合宿『火おこし – Hiokoshi -(以降、火おこし)』を実施しました。
『火おこし』は11月5日・6日と2日間に渡って新しい旅のスタイルの創発を目指す取り組みの第一歩として企画したキックオフツアーです。伊豆大島ミライプロジェクトメンバーと島外の協力メンバーが大島に集い、フィールドワークやワークショップを通じて、関わりしろを生み、学びや気づきにあふれる、そんな旅を組み立てるメソッドやフレームワークを作り出すことを目的としています。当日は天候にも恵まれ、全行程滞りなく実施することが出来ました。
当プロジェクトは、ファシリテーションやコミュニティマネジメント、ソーシャルデザインの企画や運営、ワークショップ設計等で定評のある株式会社カゼグミ代表の鈴木高祥さんに全面的にご協力をいただきながら進めています。今回の合宿についても鈴木さんはもちろん、株式会社カゼグミに関わりのあるメンバーの方々を中心にご参加いただきました。合宿では2チームに分かれて現地フィールドワークやじっくり膝を突き合わせながらのディスカッション等を進めていき、2日目に各チームより合宿を通じて組み上げた企画のプレゼンテーションを行いました。
今回参加された皆さんのほとんどが大島初上陸。東京都心から高速ジェット船にのって1時間45分で自然豊かな離島に行くことが出来ることにまず皆さん驚かれていました。この都心からの好アクセスを活かした取り組みを考えていくことも大切なポイントです。
現地フィールドワークは、大島が誇る絶景スポット「裏砂漠」や、ここ最近空き家を活用した様々なプロジェクトが生まれている波浮港地区を中心に行いました。波浮港エリアでは島内マスター候補の吉本浩二さんにお会いし、吉本さんが取り組む事業についてお話を伺ったり、意見交換を行いました。
夜には今回の合宿の拠点となった伊豆大島クエストハウスにてBBQを実施。大島初のブランド豚「かめりあ黒豚」を育てるかめりあファーム代表で同じく島内マスター候補の小坂晃一さんをお招きしてお話を伺いながら、かめりあ黒豚をみんなで味わいました。
BBQ終了後も各チームともに深夜までディスカッションを深めながら企画を詰めていきました。「この熱量が実際のツアーでも起こって欲しい。そんなツアーを企画・実施していければ。」と思いを巡らせながら見守っていました。
自信が回復する旅。大島。
翌日は2チームそれぞれが考えた企画のプレゼンテーションが行われました。
最初のチームが企画したテーマは「自信が回復する旅。大島。」
今回のプロジェクトは「人を起点とした、関わりしろを生み、学びや気づきのある旅」をテーマとした取り組みではありますが、こちらの企画はそもそも、関わっていくこと自体がハードルになっていないか?という仮説が起点となっています。
最初の一歩がなかなか踏み出せない人にとって、そのハードルを下げてあげない限り、参加してもらえる可能性は低いのでは?
そこから、地域との関わりや地域での複業を考えている人と、島内の暮らしや仕事で悩んでいる人がゆるく繋がれるような、ニーズや状況が俯瞰的に見れる掲示板のような仕組みをつくって運用していくことで、大島という場所が地域に一歩踏み出す前の準備段階の場所、つまり0歩目の場所になれるのではないか?というビジョンを導き出しました。
仕組みづくりにおけるポイントは「島の日常に参加させる。難しいことはさせない。」ということ。用意されすぎた環境は逆に疲れてしまう。自由に考えたり感じたりすることが出来る余白の時間を十分に用意しつつ、島内外双方にとって決して難しくなく、負荷の少ない、だけどしっかり満足感が得られる内容に設定してあげることが大切。
というわけで、将来的に地域に入って自分のスキルや経験を活かせるような複業をしたいと考えている人と、日々の島での暮らしの中でちょっとだけ手伝って欲しいことや困りごとを抱えている人とのマッチングを通じて双方の価値交換が生まれる。価値交換から島外の人にとっては自信につながり、島内の人にとっては地域を見直すきっかけや、シビックプライドが育つことに通じる。さらに、この関係性をビジュアルに起こしてPRツールとして活用することで、意外性を持った表現で新たな旅のスタイルを伝えるツールとしても活用できる。そんな企画を考えてくれました。
参加者からは、
「「回復や再生」というキーワードは火山島である大島にとっても親和性の高いキーワードであり、展開性のある企画でとても良いと思った。」
「掲示板のシステムを活用することで、島内外に限らず、島内でのコミュニケーションツールとしても重宝しそう。」といった感想があがりました。
大島部 -これは観光ではない、島づくりだ!-
続いてのチームは、人をフックにした熱量の高いコミュニティづくりを目的とした企画、その名も『大島部 -これは観光ではない、島づくりだ! -』。
こちらの企画は100人を集める企画ではなく、熱量が高い10人未満の少人数だけど関与度が高い人を見つける企画として考えられました。今回の合宿で訪れた波浮港にセンターピンを打った企画で、波浮の魅力的な人をフックに、その人が取り組む継続性のあるプロジェクト等と並行してツアーを企画・実施することで、大島にまた来たいと思えるきっかけや、人を起点としたフィールドワークや体験の型を作り上げることで、何度も大島に訪れて関係性を育んでいくような企画になっています。
現場でのお手伝いを中心とした一回では終わらない島との関わりはもちろん、部活動に見立てたコミュニティ醸成にポイントを置いた企画で、例えば、今回のフィールドワークを通じて知ったクラフトビール醸造所立ち上げに向けたDIYのお手伝いや、ブランド豚を育てる養豚事業のお手伝い等、具体性の高い取り組みとの連動を通じて、つくりあげるプロセスから関わっていくことでより自分ごと化しやすくなり、また、部活動という枠組みを取り入れることで、同じ志向の人や同じものが好きな人同士が集まりやすくなり、年齢や社会的立場に関係なく深い関係性を育んでいけることを特徴として掲げていました。
実際の大島での活動の他にもオンラインコミュニティを立ち上げることで、オンライン上で島内マスター(島内顧問)から現地の進捗状況の報告があげられたり、旅前に交流イベントを実施することで、現地で合流する前に参加者同士知り合う機会をつくることで、現地での活動にスムーズに入ることができる仕掛けや、部員カードや推しカードといったグッズを作成してリアルで持てたり、NFT化する等、様々なユニークなオプションも考えられていました。
参加者からの感想としては、そもそも今回の合宿自体が大島部の企画に近い内容だったりするので、現実味のある企画としてイメージがわきやすく、すぐにでも実施出来そうとの意見が出ていました。
さらなる深みを目指して
というわけで、1泊2日の短い時間ではありましたが、島の大自然を背景に熱量の高い、熱い議論が交わされた大変有意義な2日間となりました。私たちは最終的なアウトプットに限らず、今回のような“何かを生み出す”プロセスにこそ価値があるものと考えています。このプロセスを一つ一つ大切に記録していきながら、そもそも今回のプロジェクトに「なぜ取り組むのか?」そして、「果たすべきミッション」や「大切にしている価値」について、随時確認・整理を重ねていきながら、次年度の自走化に向けてブレない柱を構築していきたいと考えています。また、2月にはモニターツアーの実施を予定しています。実施に向けて引き続きツアー内容等を検討しながら仕組みづくりに励みたいと思います!
あらためまして、今回の合宿の実施にご協力いただいた皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!引き続きどうぞよろしくお願いいたします!!
伊豆大島ミライプロジェクトによる新しい旅行業のカタチを探る取り組みがスタートしました
東京都の「令和4年度島しょ地域のブランド化戦略-東京宝島アクセラレーションプログラム」支援対象の一環として立ち上がったプロジェクトチーム『伊豆大島ミライプロジェクト』による新しい旅のスタイルの創発を目指す取り組みがスタートしました。
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