「素のままに、地のままで。」椿と暮らす一棟貸し宿「soji」を伊豆大島にオープンします。
株式会社TIAMは、2026年8月、伊豆大島に一棟貸し宿「soji(ソジ)」をオープンします。
元椿農家の住まいとして使われてきた、庭のある一軒の平屋。
和室や台所、窓から見える緑など、家がもともと持っていた佇まいを受けとめながら、島で暮らすように滞在できる場所として、少しずつ整えてきました。
タグラインは、
「素のままに、地のままで。」
宿に併設するガレージには、椿の実の殻や枝などを使ったものづくりを行う「KARARA」の工房兼体験スペースを設けます。
KARARAを主宰する杉本美佳さんには、いわばsojiの“おかみ”として宿泊者を迎えていただき、椿と島の暮らしに触れる宿泊者限定の体験も提供していく予定です。

一軒の家に泊まり、庭や風景を眺めるだけでなく、その土地で育つ植物に触れ、島の人の手仕事や暮らしの知恵を知る。観光地を巡るだけでは出会えない伊豆大島の時間に、そっと身を置いていただける宿を目指しています。
島を伝えることから、島で迎えることへ

私たちはこれまで、WEBメディア「東京都離島区」を通じて、東京の島々に暮らす人や、そこから生まれる仕事、文化、風景を伝えてきました。
記事をつくるために島を歩き、さまざまな人の話を聞くなかで、いつも感じていたことがあります。
島の魅力は、有名な観光地や美しい景色だけにあるのではありません。
庭を渡る風や、鳥の声で目を覚ます朝。
食材を買いに立ち寄る商店。
集落を歩くときに交わす挨拶。
季節によって少しずつ表情を変える、森や畑、海の色。
島で過ごす何気ない時間のなかにも、その土地の文化や、人々が長い時間をかけて育んできた営みは息づいています。

そうした島の日常に、訪れる人がもう少し深く触れられる場所をつくりたい。
島について「伝える」だけではなく、実際に人を「迎える」場所を持ちたい。
そんな思いから、一棟貸し宿「soji」の計画が始まりました。
新しくつくり変えるのではなく、残されていたものを受けとめる
sojiは、新しく建てられた宿泊施設ではありません。
島に以前からあった一軒の家を、できる限り自分たちの手も動かしながら整えてきました。すべてを新しく塗り替えるのではなく、家に流れてきた時間や、古い素材の手触り、窓から入る光、庭の植物、風の通り道を残すこと。便利で快適な宿泊環境を整えながらも、この場所がもともと持っていた空気を消してしまわないことを大切にしました。

宿の名前である「soji」は、漢字では「素地」と書きます。
素地とは、何かを飾ったり、加工したりする前の、もともとの性質や土台のこと。
宿となる家の素地。
伊豆大島という土地の素地。
そして、訪れた人が日常の役割や忙しさから少し離れ、自分自身の素の感覚へ戻っていく時間。
この場所が持つさまざまな「素地」を大切にしたいという思いを、名前に込めました。
椿農家の家を、椿が巡る宿へ
sojiとなる家は、かつて椿農家を営んでいた方の住まいです。
敷地のまわりにはいまも椿が育ち、家に併設されたガレージからは、この土地で営まれてきた仕事や暮らしの名残を感じることができます。
伊豆大島では、椿は花を楽しむだけの植物ではありませんでした。

強い海風から家や畑を守り、種からは椿油を搾る。光や風を通すために整えた枝は炭となり、油を搾ったあとのかすも畑へと還されてきました。
自然を遠くから眺めるのではなく、暮らしのなかで受け入れ、活かしながら、ともに生きていく。椿は、伊豆大島の自然環境に適応しながら、人々の暮らしを支えてきた身近な存在です。その一方で、暮らしや産業の変化に伴い、十分に手入れされなくなった椿林も増えています。
sojiでは、この家が持っている椿とのつながりを、過去の記憶として残すだけではなく、これからの滞在や体験へとつないでいきたいと考えました。
宿泊することと、土地の営みに触れること。
休む時間と、手を動かして何かを知る時間。
その二つが同じ場所で緩やかにつながることも、sojiならではの滞在のかたちです。
椿から生まれるものをつくる「KARARA」
宿に併設するガレージは、杉本美佳さんが「KARARA」という屋号で活動する工房兼体験スペースとして活用します。美佳さんは、椿林の整地や剪定、伐採、草刈りなどに携わりながら、椿の実の殻や種、枝などを使ったものづくりを行っています。

素材となる椿の実は、拾ってすぐに作品にできるわけではありません。
実を収穫し、選別し、天日に干し、形や状態を見ながら、一つひとつ手を加えていく。その背景には、椿を余すことなく活かしてきた島の暮らしや、かつて島の生活を支えてきた人々の手仕事と重なる時間があります。これまで見過ごされてきたものに目を向け、手を動かすことで、別の価値へと転換していく。
KARARAの活動は、古い家が宿へと生まれ変わるsojiのあり方とも、どこか重なっています。
椿の時間へ案内する、sojiの“おかみ”
美佳さんには、工房で椿のものづくりを続けながら、いわばsojiの“おかみ”として、宿とそこを訪れる人を見守っていただきます。一般的な旅館の女将のように、決められたサービスを提供する存在というよりも、島の暮らしや椿のことを知り、訪れた人と土地との間をさりげなくつなぐ存在です。
庭に育つ植物のこと。
椿が暮らしのなかでどのように使われてきたのか。
いま島でどのような手入れやものづくりが行われているのか。

美佳さんとの会話や体験を通じて、風景を眺めるだけでは気づかなかった、伊豆大島のもう一つの表情に出会っていただけたらと思います。宿にスタッフが常駐し、至れり尽くせりのサービスを提供するのではなく、必要なときにはそっと寄り添い、それぞれの滞在を静かに見守る。そのほどよい距離感も、sojiが大切にしたいものの一つです。
宿泊者限定の体験「椿がたどる時間
sojiでは、宿泊者限定の体験シリーズとして、「椿がたどる時間」を計画しています。
火山島の大地で育った椿。
花を愛でたあとの実は油に。
光や風を通すために整えた枝は炭に。
一本の椿が、季節と人の手を経ながら姿を変え、島の暮らしのなかを巡っていく。その時間に、そっと触れるような体験です。
第一弾として予定しているのは、「椿炭から椿墨へ」。
椿畑を歩き、椿と島の暮らしにまつわる道具に触れたあと、椿の枝からつくられた炭を使って墨をつくり、最後はポストカードに仕上げます。完成したポストカードは旅の記念品であると同時に、この島で椿がたどってきた時間の一部を持ち帰るものでもあります。
今後は、椿の枝を使ったペンづくりや、季節に合わせた椿の実の収穫体験なども検討しています。特別な技術を身につけたり、立派な作品を完成させたりすることだけが、体験の目的ではありません。椿の庭を歩き、素材に触れ、手を動かしながら、その背景にある自然の循環や島の暮らしへ想像を巡らせる。
sojiで過ごす時間のなかに、そんな小さな気づきを持ち帰っていただけたらと考えています。
体験の開催日や料金、予約方法などの詳細については、公式WEBサイトなどで順次お知らせします。
一棟を、暮らすように泊まる
sojiは、最大5名まで宿泊できる平屋一棟貸しの宿です。
畳の部屋で足を伸ばしたり、島で買った食材を台所で調理したり、窓の向こうの庭を眺めながら本を読んだり。ホテルの客室に泊まるというより、一軒の家を借りて、島での数日間を暮らすように過ごすことができます。

朝、障子越しの光で目を覚ます。
庭に出て、鳥の声を聞く。
日中は島の道を歩き、海や森、集落の気配に触れる。
夜は静かな家へ戻り、一日をゆっくりとほどいていく。

sojiでの滞在に、決まった過ごし方はありません。
観光の予定をたくさん詰め込む日があってもいい。
どこにも出かけず、家や庭でゆっくりと過ごす日があってもいい。
島の時間に身をゆだねながら、思い思いにお過ごしいただけたらと思います。
素のままに、地のままで。
伊豆大島では、家々のまわりや畑のそば、森の奥など、さまざまな場所で椿に出会います。
冬から春に赤い花を咲かせ、やがて種を落とす椿。
人々は、その土地の性質をよく見つめ、自然に抗いすぎず、委ねすぎず、折り合いをつけながら日々の営みを整えてきました。

新しいものを大きく足すのではなく、今あるものをよく見つめ、その性質を受けとめながら整える。sojiもまた、そんな島の営みの延長にある宿でありたいと考えています。ここで過ごす時間が、観光地を巡るだけでは出会えない島の奥行きや、伊豆大島という土地が持つ静かな力に触れるきっかけとなれば嬉しく思います。
施設概要
施設名:一棟貸し宿 soji(ソジ)
開業日:2026年8月
所在地:東京都大島町
宿泊形態:平屋一棟貸し
定員:最大5名
間取り:和室8畳、洋室8畳、リビング13畳、キッチン、浴室、洗面、トイレ
主な設備:Wi-Fi、キッチン、調理器具・食器、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、冷暖房、タオル類ほか
チェックイン・チェックアウト:チェックイン 15:00〜18:00/チェックアウト 10:00
アクセス:元町港から車・タクシーで約7分/岡田港から車・タクシーで約9分/大島空港から車・タクシーで約5分
公式WEBサイト・宿泊予約:2026年8月上旬公開予定
「素のままに、地のままで。」
皆さまを伊豆大島でお迎えできる日を、楽しみにしております。
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