【三宅島求人情報】火山と共に生きる三宅島の“もったいない”を拾い・繋ぎ・磨き価値にして届けるマルチワーク
「色々な分野に触れていくことで、立体的にモノゴトが見えてくるんです。」
TIAMの代表であり、三宅島を拠点に一般社団法人アットアイランドの代表としても事業を行っている伊藤はそう話します。
効率重視の分業化がまだまだ主流の世の中で、小規模ながらも飲食業、宿泊業、焼酎販売所運営、ガイド、シェアハウスなど、敢えて横断的にさまざまな事業に取り組んできたアットアイランドが、新たに仲間となってくれる2名の人材を募集しています。
-現在、アットアイランドではどのような事業を行っているのですか?
「三宅島を拠点に、飲食業、宿泊業、そして三宅島で製造されている焼酎の販売所運営を行っています。各事業を全体的な視点から見ると、現在は観光客に向けた事業の比重が大きくなっています。
私が事業に取り組む際に起点にしているのが“もったいない”という感覚です。
地域に点在する”もったいない”と感じるさまざまなモノゴトに対して、自分の強みや得意とすることを組み合わせていく。つまり、『もったいない素材×もったいない建物×もったいない人材×僕のできそうなこと=地域にとっての価値』の方程式が釣り合いそうだと判断できれば、取り組んでみようと決めています。なので、特定のジャンルにこだわりはありません。方程式が整いさえすれば、まずは試しています。結果、失敗して撤退した事業もありますけどね。(笑)」
-そんな”もったいない”視点で最初に取り組んだのが宿泊事業とのことですが、現在運営されている宿について教えてください。
「『三宅島ゲストハウス島家』という宿を営んでいます。キャッチコピーは『五感を拓く、暮らし旅』。観光でありながらも、暮らしのような滞在体験を味わってもらえることを意識しています。現在は原則一棟貸しで、家族やグループでゆっくりと滞在してもらえるような運用をしています。」
「2017年開業で、僕の原点となる事業です。建物は空き家を活用しました。創る段階からたくさんの方々に関わってもらう工夫をして、総勢100名の仲間たちと3ヶ月かけて改修作業を行いました。もちろん、地域の土木建設関係の方々にもところどころ手伝ってもらいつつ。
ゲストハウス事業を通じて目指していたことは『島に愛のある人を増やす』ことです。結果的にこの場所で出会ったさまざまな方々が、毎年来てくれたり、移住してくれたり、一緒に仕事をしてくれる仲間になっています。最初に始めたのが宿で本当によかったなと思っています。」
-飲食事業ではどのようなお店を運営されているのですか?
「はい、『三宅食堂』という屋号で港の施設内に出店している小さな食堂で、2023年7月にOPENしました。なるべく島の食材を使用したメニューを提供するように心がけていて、中でも『地魚だしラーメン』は一番人気であり、自慢の一品です。現在は将来飲食事業で起業したいと考えている“るんちゃん”が店長として頑張って切り盛りしてくれています。」
-港の食堂って島っぽくていいですね。なぜ食堂を始めようと思ったのですか?
「宿泊施設の数に対して、飲食店が少ないというのは三宅島全体の課題として感じていました。実際、予約や下調べをしなかったために、どこの飲食店にも入れずに食事難民となるケースが少なからず発生していました。」
-旅において「食」は重要な要素ですよね…
「はい。先ほどもお話ししましたが、アットアイランドが事業を始めるかどうかの判断基準が『もったいない素材×もったいない建物×もったいない人材×僕のできそうなこと=地域にとっての価値』の方程式が成立した時です。事業を立ち上げる際は、この『地域にとっての価値』を生み出すことの実現性を常に考えています。三宅食堂の場合は、コロナ禍の頃から主要港である錆ヶ浜港にある飲食店のテナントが3年ほど空いている状態でした。島の玄関口である港に飲食店がないというのは”もったいない”状態だと感じていました。離島での飲食店経営が大変なのはわかっていたので、二の足を踏んでいましたが、三宅島で揚がった魚が島内消費されていく中で、魚のアラがほぼ廃棄されている事実を知りました。
その事実を知ったことで、『利活用されていない地魚のアラ×3年空いているテナント×飲食で挑戦してみたい人材(ルンちゃん)×過去に飲食店立ち上げの経験あり(私)=三宅島の玄関口である港で島の食材を安定的に楽しむことができるという価値』という方程式が整い、挑戦することを決めました。」
-そして、 今年新たにスタートしたのが、三宅島の焼酎の販売所事業ですね。
「はい、三宅島に残された最後の焼酎である『雄山一』の販売業務を『Islands Base OYAMAICHI』という新たな拠点で行っています。この事業に関しては『三宅島酒造株式会社』さんとの業務委託契約により運営をスタートしました。開業は最近で、2024年の8月からになります。」
– なぜ始めようと思われたのですか?
「三宅島に移住して8年。改めて大切にしたいモノって、過去より受け継がれてきたこの島ならではの自然や歴史、文化といった「文脈」なんだと強く感じています。三宅島は地理上本土とは一度も接していない海洋島です。つまり何万年もの間、流れてきたものだけで独自の自然と文化を醸成してきています。そしてこの島は頻繁に噴火を繰り返してきた火山島。この文脈はどこにも真似できないオリジナルです。
そんな風土だからこそ生まれてきた文化を繋いでいくことに貢献したいという気持ちが強いです。今から4年ほど前、島の大切な食文化であるクサヤの製造業者が暖簾を降ろしました。その時、僕は見ていることしかできなくて悔しかったんです。三宅島の焼酎文化は江戸時代から続いてきました。噴火も乗り越えて先人が守り繋いできてくれたものです。しかし、人口減少や後継者の不足により、続けていくことが難しい状況が続いています。島の誇りとも言える焼酎文化を繋ぐために、僕にできることをやらせていただきたいと立候補して販売所を復活・運営することを任せていただきました。今はこの販売所『Islands Base OYAMAICHI』を訪れる意味や理由を見出し、仕掛けていくためのブランディングを練っているところです。」
– 地域の誇りや価値を語る上で「文脈」はとても大切なキーワードですね。その他にもやられている事業はありますか?
「はい、『伊豆大島クエストハウス』や『新島スタジオなかにわ』というシェアハウスをそれぞれの島の仲間との協業で立ち上げて運営しています。これは、宿泊事業の一方で、移住定住のイベントなども実施してきた経験から、観光と移住の間の余白に気づいたことがきっかけです。こちらも宿泊事業で得た経験と、現地で見つけた空き家、そして一緒に取り組む仲間との出会いが重なり、ビビッときたタイミングがあってシェアハウスの立ち上げを決意し、何度も通って改修をしてみんなで創りあげました。結果として、ここ3年で7名の方が島に移住してくれています。しかも、そのほとんどの方が何かしらの事業の立ち上げに挑戦しています。良い物件と出会うタイミングが合えば、三宅島にもシェアハウスが必要だなと思っているので、物件情報あったら教えてください。(笑)」
– 本当に色々やっていますよね!で、これ何人で回しているんですか?
「よくぞ聴いてくれました!僕を除いて、現在社員1名、高校生アルバイト1名です(笑)。創るのは得意なんですけど、その事業を丁寧にケアしたり、任せたりするのが苦手です。特に社員のるんちゃんには本当に負担をかけてしまっています。そんな反省もあって、ちゃんと体制をつくって、任せるところは任せて、得意なところを活かし合うチームとして育てていきたいと思っています。わがままに聞こえるかもしれませんが、僕は地域や人が持つさまざまな背景を活かして、色々な場所に行って、話を聴いて、”もったいない”を探して、事業に必要な知識を得るために勉強して、タイミングが来たらガツっとスピード感を持って立ち上げる。このポジションにできる限り専念するのが僕の役目であり、世のためだと思っています。苦手なことを無理矢理やっていると、迷惑をかけることがわかりました(笑)。意志もあるし行動もする。けど、足りない部分がたくさんあります。助けてください!」
-どんな方に来て欲しいと思っていますか?
「何事にもジブンゴトとして取り組める方ですかね。あと、面白がる力が強いことも大切な気がします。契約社員か正社員での募集ではあるんですけど、どちらの仕事も持つ裁量がすごく大きいです。仕事はもちろん、島で暮らしていると色々イレギュラーも起きます。起きた事象に対して被害者的に関わるのか、ジブンゴトとして捉えて解決の道を探すのか。後者のスタンスであれば、より多くの学びと成長が得られる場所だと思います。」
-今回募集する飲食業務中心のマルチワークスタッフの業務内容や魅力を教えてください。
「飲食業務中心のマルチワークスタッフに関しては、三宅食堂の次期店長候補となります。飲食に興味があって、今後飲食関係で何かチャレンジしてみたいと思っている方には、すごく良い経験になると思います。島の食材も多く活用しているので、生産者さんと繋がりながら食材に対する知識を深めることができます。また、多くの方々が行き交う港の食堂なので言ってみれば島の顔とも言えます。ほとんどの島の方が知っていて、実際によく訪れる場所でもありますよね。さらに、新メニューの開発やお店の方針も自分で考えて提案することも可能です。日々温めてきたアイデアをこの場を使って試してみることもできます。実際に店長のるんちゃんは、タコス屋での開業を検討しており、テスト販売にもチャレンジしはじめています。」
-続いて、今回募集する宿泊・焼酎販売・飲食中心のマルチワークマネージャーの業務内容や魅力を教えてください。
「宿泊・酒造販売・飲食中心のマルチワークマネージャーに関しては、宿・焼酎販売施設・食堂のマネージャーを務めていただくことになります。マルチワークなので、飲食関係の営業にも参加していただきます。清掃等の地味な仕事もはもちろんありますが、基本的には既存の店舗をより価値のある場所として伸ばしていくプランを日々考え、実践していくことがメインとなる仕事です。自分で起業することはリスクもあり現時点では難しいけれども、さまざまなアイデアがあって挑戦してみたいと考えている方にとっては、躍動できる場所かもしれません。さらには、宿という箱があり、焼酎販売施設にはオーシャンビューのワークスペースがあります。この場所を活かして事業アイデアを一緒に考えていきましょう!」
-一方で、想定される大変な部分についても教えてください。
シーズンにもよりますが、体力的にハードなタイミングはあると思います。特に飲食店では、仕込みから接客片付けまで、シンプルにやることは多いと思います。あとは、島で暮らしていると地域の活動などに参加する機会もあります。仕事と地域とのバランスを考えながら、自分の暮らしをデザインする意識も大切になると思います。今回の募集はいずれも一つのことをやっていれば良いというものではないので、バランスの調整が大切であり、まずはそこが求められることかもしれません。
一般社団法人アットアイランド
募集職種
- 飲食業務中心のマルチワークスタッフ
- 宿泊・焼酎販売・飲食のマルチワークマネージャー
雇用形態
- 飲食業務中心のマルチワークスタッフ
契約社員 / 正社員 - 宿泊・焼酎販売・飲食のマルチワークマネージャー
契約社員 / 正社員
給与
- 月給:250,000円〜300,000円
※経験を考慮し、面談時に相談のうえ決定
待遇・福利厚生
- 社会保険制度完備
- 引越し支援金10万円支給
- 食堂のスタッフ優待券支給
仕事内容
- 飲食業務中心のマルチワークスタッフ
- 三宅食堂の店長業務(仕入れ・仕込み・調理・提供・スタッフ管理・清掃等)
- 三宅島の食材を活用した新メニューの開発
- 宿や焼酎販売業務のヘルプ
- 運営スペースを活かしたイベントの企画運営等
- 宿泊・焼酎販売・飲食のマルチワークマネージャー
- 宿/焼酎販売スペースの管理人業務(予約管理・清掃・接客等)
- 三宅島の素材を活用したお土産品の開発
- 三宅島の魅力を伝える宿泊体験の開発
- 飲食業務のヘルプ
- 運営スペースを活かしたイベントの企画運営等
主たる勤務地
- 飲食業務中心のマルチワークスタッフ
- 三宅食堂(〒100-1212東京都三宅島三宅村阿古672-3 ここぽーと2F )
- 宿泊・焼酎販売・飲食のマルチワークマネージャー
- 三宅島ゲストハウス島家(〒100-1212 東京都三宅島三宅村阿古2117-1)
- Islands Base OYAMAICHI (〒100-1101 東京都三宅島三宅村神着1198)
- 三宅食堂(〒100-1212東京都三宅島三宅村阿古672-3 ここぽーと2F )
勤務時間
契約社員 / 正社員
- 原則8時間労働(休憩時間1時間)
※勤務開始時間や終了時間は季節等により流動的です。面接時にご相談ください。
休日休暇
契約社員 / 正社員:年100日程度(原則水・木曜日の週休2日)
- 前期休暇(4月、5月、6月、10月の期間に希望制で5日程度取得可能)
- 冬季休暇(11月、12月、1月、2月、3月の期間に希望制で5日程度取得可能)
応募資格
- 普通自動車免許(取得見込みも可)
- (1) 飲食業務中心のマルチワークスタッフに関しては、調理・接客経験のある方優遇
- (2)宿泊・焼酎販売・飲食のマルチワークマネージャーに関しては、デザインやPR/マーケティンングの経験ある方優遇
求める人物像
- アットアイランドの取り組みに共感してくださる方
- 任せられた業務に主体的に取り組める方
- 何事も面白がることができる姿勢がある方
- 既存事業をより良く改善するアイデアと向上心を持つ方
- オーナーシップを持って取り組める方
歓迎するスキル・経験
- デザインなどのクリエイティブスキル
- マーケティング / PR業務の経験
- 島への興味 / 愛
募集期間
2024/09/01- 2024/10/31
採用予定人数
- 飲食業務中心のマルチワークスタッフ:1名
- 宿泊・焼酎販売・飲食のマルチワークマネージャー:1名
選考プロセス
下記のフォームに入力して送信をお願いいたします。選考の上、ご連絡いたします。
書類(フォーム)選考 → 面接(オンライン※or対面)→採用(試用期間3ヶ月あり)
- 取得した個人情報は、採用選考にのみ使用します。
- 選考プロセスは変更になる可能性があります。
- 選考に関係する連絡は原則メールで行います。
- 書類選考結果は、合否にかかわらず全員にご連絡いたします。書類選考通過者には、WEB面談の日程調整を行います。なお、選考結果の理由等のお問い合わせにはお答えできません事を予めご了承ください。
その他
私たちは、この東京の島々が大好きです。海洋島であるこの島々は、何万年もかけて独自の自然と文化を醸成してきました。この人口急減少社会の中では、この島々の大切な文脈を残すことが難しくなってきます。変わらないために、変わっていくことが求められています。島に存在する“もったいない”を一つ一つ拾い上げ、繋ぎ、磨いていきたいと思っています。私たちの法人は小さいですが、使命は大きいと思っています。あなたの力をぜひ貸してください。お待ちしています。
よろしければ、こちらもご覧ください。
- 一般社団法人アットアイランド(2016年創業)
- 三宅島ゲストハウス島家(2017年開業)
- 三宅食堂(2023年開業)
- Islands Base OYAMAICHI(2024年開業)
- 伊豆大島クエストハウス(2021年開業)※現地パートナーと協業運営
- 新島スタジオなかにわ(2022年開業)※現地パートナーと協業運営
【代表の取材記事】
- another life. (2018年)
- LOCAL就活(2019年)
- コロカル(2022年)
- SOCIAL TOWN GUIDE (2022年)
- ニフティ温泉-ココロとカラダをととのえる“暮らしの主人公Stories”-(2023年)
- NATURE TOKYO experience (2023年)
Let's Share
この記事をシェアするRelated articles
関連記事持続可能な未来への船出!美しい島の自然と暮らしをいつまでも
新島では年間100トン以上という大量の海洋ゴミが流れ着き、ゴミ処理はもちろん、島の美しい景色を損ねる大問題となっています。一方で、魚の水揚量は年々減少し、漁業や・・・
2022/01/05
『挑戦』すべては未来へつなぐために
2022年9月、私たちは鹿児島県薩摩川内市甑島へと足を運びました。旅の目的は甑島の風景や日常を守り未来へ繋げようと日々奔走する東シナ海の小さな島ブランド株式会社・・・
2022/11/09