同じ悩みを持つ人たちに椿の力を

 2023/10/17

西沢アレクシスさんはアフリカンアメリカンの父と日本人の母のもとに生まれました。幼少期より地毛のカーリーヘアのスタイリングに悩み苦戦する日々を送っていましたが、ある時、「ありのままの自分でおしゃれがしたい」という思いを抱くようになり、その願いを叶える為、10年以上かけ続けた縮毛矯正をやめて、効果的なヘアケアやスタイリング方法を自身の髪の毛を通じて研究する活動をはじめました。日々模索しながらも着実に理想の手法へと近づいていくことに大きな期待と充実感を抱きながら、ようやく自身が納得できる商品として世の中にリリースできる構想がかたまり、ついにカーリーヘアによるカーリーヘアのためのカーリーヘアケアブランド「Jigee Curls(ジギーカールズ)」を立ち上げました。

アレクシスさんが開発したスタイリングジェルには伊豆大島で非加熱製法により精製された生ツバキ油が配合されています。今回はそんな椿油を伊豆大島から提供されている株式会社C&WORLD代表取締役の安藤さんも同席し、商品開発までの経緯や商品の特徴などをお伺いする対談を実施しました。

ーまずはアレクシスさんにお聞きします。椿油を知ったきっかけと、なぜ今回の商品を作ろうと思われたのかあらためて教えていただけますか?

(アレクシスさん)はい、私は小さい頃から髪の毛にとても悩んできました。当時は今のようなカーリーヘアではなく縮毛矯正をかけていたので、ストレートヘアだったのですが、クリームやオイルをつけて整えていないとゴワゴワ広がったりするので、自分の髪質に合う商品は無いものかと様々なタイプのクリームやオイルを試してきたのですが、どれも表面的な効果しか感じられず、ギトギトしていて合わないものばかりでした。

そんな日々が続いていたある日、母親が偶然薬局で椿油を見つけて買ってきてくれて、椿油を濡れている髪につけてから髪の毛を乾かしてストレートアイロンするととても綺麗にスーッと伸びたんです。スタイルの持ちも良いし、ギトギトしないし、匂いもそんなに気にならなかったので、これはとても良いものを見つけたなと思って、以来10年ぐらい愛用してきたのですが、縮毛矯正をやめて本来のカーリーヘアに戻してからも、自分の髪質には椿油が合うということは実体験から分かっていたのと、私と同じ髪の悩みを持っている方が沢山いるということもさまざまな情報を得る中でよく分かっていました。さらには純粋に椿油の良さを知ってもらいたいという想いもあって、椿油を配合したスタイリングジェルをつくろうと思いました。

ーなるほど。今回の商品のポイントでもある椿油ですが、例えば五島列島など他の地域にも有名な産地はありますが、伊豆大島の椿油を使おうと思った理由を教えてください。

(アレクシスさん)そもそも私が東京都出身であり、さらに母親も同じく東京都出身なので、何か東京でやりたいという思いがずっと心の中にありました。また、世界的に見ても東京はよく知られた場所であって、自分にとってルーツとも言える大切な場所でした。そんな東京に自然豊かな国立公園の島があることも大都市東京とはまた別の顔を持っているということでギャップが感じられてとてもユニーク且つ魅力的だし、さらには島には日本原産であり、椿油の原料となるヤブツバキが多く自生していることを知り、頭の中で一気にストーリーが繋がってきて「これはもう絶対にやるべきだ!」と強く思いました。

-自分のルーツから日常におけるエピソード、東京の島という意味付けすべてが明確に繋がっていく様子がよく伝わってきました。一方で、安藤さんにもお聞きしたいのですが、椿油との出会いはどのようなものでしたか?

(安藤さん)そうですね。私がまだ幼かった頃、当時横浜に住んでいまして、おばあちゃんの鏡台には椿油が乗っていて、いつも使っているのを目にしていました。実はそのころは椿油に対してあまり良い印象を持っていなかったんですね。というのも、当時おばあちゃんが使っていた椿油はベタベタしていて、匂いも強くて、それが気になっていたんです。以来、椿油に対して良いイメージはずっと持っていなかったのですが、夫の転勤で伊豆大島に移り住んだときに、偶然弊社の椿油に出会いまして、手にした瞬間に「え、私が思っていた椿油と全然違う!」ってビックリしました笑。とてもサラサラしているしベタつかない、匂いも気にならなかったので、これはとても良いものだとすぐに感じて、とにかく人に勧めてこの素晴らしさを共感したいなと思ったのがきっかけで、弊社に入社して今に至ります。思い返してみれば、おそらく当時おばあちゃんが使っていた椿油は、そもそもヤブツバキの種子を搾ったものではなかったか、もしくは、精製があまりよくない(不純物が多く含まれた)商品だったのかもしれません。

-本来の純粋な椿油にいわば衝撃的な出会いをされ、人生が変わったわけですね。ところで、今回のアレクシスさんの商品にはC&WORLDさんの工場で製造されている椿油が配合されていますが、安藤さんの椿油の特徴について教えてもらえますか?

(安藤さん)弊社の生ツバキ油は熱を加えず、非加熱で椿油を搾るのでリン脂質という成分が多く残っていて、それがベタつかない性質に繋がっています。人間の細胞は約70%が水でできています。細胞水と呼ばれているのですが、この水には生命情報の伝達を含めさまざまな生体機能に深く関わっている事が最新の化学でわかってきています。そんな細胞水を包み込むのがリン脂質体とよばれる特殊な脂肪酸で、これがより高い保湿効果を得ている要因であることがわかっています。 非加熱製法によって天然のリン脂質をそのままに、まさに搾りたてのジュースのような生ツバキオイルをつくることが実現できているのが大きな特徴です。

-なるほど、科学的な根拠に基づいた商品づくりをされているんですね!ところで、安藤さんとアレクシスさんが知り合ったきっかけを教えてもらえますか?

(アレクシスさん)実は私はお酒が好きで、特にウィスキーが大好きなのですが、社会人になってただ働いているだけの日々が嫌で勉強したいなと思い、ウィスキーの勉強をはじめて資格を取得したりもしたのですが、当時資格取得にあたりいろいろ教えていただいていた方との会話の中で椿油を使った商品開発をしたいと何となく相談をしてみたところ、偶然にも伊豆大島にお知り合いの方がいて、その方をご紹介していただいたことで大島に行く機会に恵まれました。

そこで現地を案内していただきながら島内の椿油の製油所を視察させて頂いたのですが、その中でC&WORLDさんにも立ち寄ったのが安藤さんとの最初の出会いです。その際に工場を拝見して椿油の搾り方の特徴など、様々なお話を伺うことができました。おかげでさらに椿や椿油に対する興味が膨らんでいきました。ただ、その時はまだ商品のイメージが全然具体化してなくて、全く形にはなっていなかったのですが、その後も安藤さんとお話をする機会があって、そこから具体的に商品化に向けて動き始めていった感じです。

ー安藤さんにとって、自身の工場で製造された椿油が別の商品となって世に出るというのはどのような印象ですか?

(安藤さん)そうですね。はじめは正直少し複雑な気持ちはありましたが、こうやって私たちの椿油が配合された商品が世の中に出ることはやはり嬉しいですね。

椿油を搾るのはなかなか手間がかかって大変な作業です。種を搾れる状態にするには種の収穫、選別から天日干しなどの下準備はもちろん、種から油になるまでの工程についても搾ってからゆっくり寝かせてじっくり精製していくのでとても時間がかかります。それだけ手間暇かけてつくるので、それこそお嫁に行くじゃないですけど、愛おしい感情にも似たような気持ちになりますね。

だからこそ、アレクシスさんのように椿油の価値をしっかり理解して頂いて価値ある商品に仕上げていただくことはもちろん、さまざまな方に使っていただける機会が広がることはとても嬉しいことです。より多くの方々にお届けすることで、良いものをつくっているんだという自信にも繋がってきますね。

ーそうですね。C&WORLDさんの商品とは異なる角度でテイストや用途も変化して展開されていくのは良いことですよね。
アレクシスさんは今後の商品展開や事業展開についてどのようなイメージをお持ちですか?

(アレクシスさん)はい、今後はヘアオイルやクリームを出す予定です。そして将来的にはシャンプーも出したいと思っています。様々な用途に応じた商品を展開していきたいと思っていますが、全ての商品に共通していることは、椿油を使っていることと、カーリーヘア向けであること。この2点はブレることなく進めていきたいと思っています。

ーしっかりした軸を持っていらっしゃることは明確な意志表示にもつながり事業の強みにもなりますよね。そんな明確な姿勢が注目されたりもしていて、今回の取り組みがJAPANTIMESにも取り上げられましたよね?

(アレクシスさん)はい、そうなんです。とてもありがたいことです。
私の父方はアメリカに住んでいるのですが、椿油はあまり知られていなくて、日本原産ということで、そこがオリエンタルな印象を持ってもらえるところであり、注目されるポイントでもあるのかなと思っています。

海外の人たちって日本語が好きな方が多くてアニメのキャラクターの名前とかをお店の名前とかにされているケースもよく見かけるのですが、それはどうやら日本の3文字の響きが好きなようで、例えば「ミカサ」とか、この3文字のイントネーションが日本らしく響くみたいで、「ツバキ」もそこに通じているのかななんて思ったりしています。覚えやすいですしね。もしかしたら「camellia」よりも「tsubaki」でPRしたほうが面白いかなとも思っています。

ー安藤さんは今後自社の事業や商品含めてどのようなビジョンをお持ちですか?

(安藤さん)アレクシスさんの商品がもっともっと羽ばたけるように、引き続き出来る限りのご協力や応援をしたいと思っています。それにはとにかくいいものをお届けしたいですね。椿油をアレンジする企画をはじめ、さまざまなお話をいただくのですが、やはりC&WORLDは100%椿油製造業者として取り組んでいきたいと思っています。

そんな想いから、「Camellia Natural」というブランドコンセプトを掲げて、椿の産地伊豆大島で、自然と向き合いながら、じっくり丁寧に想いを込めて製品をつくり、お届けしていこうと思っています。また、ブランドコンセプトを考えていく中で、等身大で椿に向き合う人たちと連携して、伊豆大島の椿の魅力を伝えるTEAMをつくり、想いや活動を伝えていくことで、地域で昔から大切に育まれてきた“椿のある暮らし”を多くの方に届けていきたいと考えています。そんな「つくり手とつかい手」の関係性が見えるようなぬくもりを伝えていきたいと思っている中で、アレクシスさんと出会えたことはとても大きいですね。

Camellia Natural

さらり・自然・潤う
伊豆大島で生ツバキ油をつくっています。毎日使って欲しいから、椿の島の自然がゆっくり育んだやさしさをお届けします。

ーシンプルな姿勢や偽りのない世界観は受け手に強く響きますよね。そんな中で、今回のアレクシスさんのようなカーリーヘアに特化した商品が生まれるケースはお互いの強い想いやこだわりがうまく噛み合わさることで生まれるコラボレーションですよね

(安藤さん)はい、新たな展開を見させていただきました。とても良い刺激をいただきました。

(アレクシスさん)本当に素晴らしい機会に恵まれたなと思っています。ありがとうございました!

ー最後に今回の商品の特徴について教えていただけますか?

(アレクシスさん)はい、この商品は地毛のカールを綺麗に出すためのスタイリングジェルです。もちろんパーマヘアにもお使い頂けます。ストレートにするわけでも香りづけをするわけでもなく、カールをまとまった綺麗なカールにスタイリングするジェルです。このような商品は海外には沢山あるのですが、海外の製品を使うと香りが強すぎたり、日本では湿気が強いので、海外の製品はベタついて使いづらいのです。日本の気候や私のような日本の血が入っている人たちの場合、海外目線から見るとかなりレアケースになってしまいますが、ニーズは確実にあると思っています。

また、Made in Japanと表記することで、日本に暮らすカーリーヘアの人たちのための商品であることを伝えています。もちろん、海外の人たちにも使って欲しいし、椿油というものがとても良いオイルであることを広めるための商品だとも思っています。

ーターゲットが明確になっていて、しっかり商品づくりをされていて関心しました。

(アレクシスさん)ありがとうございます。ゆくゆくはアメリカにも自分のルーツがあるので展開したいですし、韓国にも韓国と黒人のミックスの方が多くいらっしゃいますし、髪の毛で悩んでいる姿をSNS等を通じてよく見ているので、日本からお届けしたいなとも思っています。安藤さんがつくる椿油のように、椿の産地に工場を構えて椿油を搾られていて、さらに非加熱で搾油することで特徴ある椿油を作られていることがより大きな価値になると思っています。

ーありがとうございました。

椿油との出会いから、カーリーヘアという生まれ持った特徴を魅力的な個性として受け入れたことで、カーリーヘア専門ブランド「Jigee Curls(ジギーカールズ)」を立ち上げるまでに至ったアレクシスさん。彼女の持つ自然体で飽くなき探究心が今回のような商品開発に繋がりました。さらには、一人一人の髪質にあったケアやスタイリング方法を勉強するオフラインのワークショップや、同じ境遇を持つ人同士のコミュニケーションの場としてのミートアップを定期的に開催されていて、プロダクトの提供に止まらず、社会関係資本を高める活動にも積極的に取り組まれています。ブランドを通じて、誰もが前向きにライフスタイルを楽しめる環境をつくっていくという姿勢がとても素敵です。今後の活躍にも注目しています。

カーリーヘア専門ブランド『ジギーカールズ』

私たちJigee Curlsはヘアケアやヘアスタイリングを諦めていたすべてのカーリーヘアの人々がもっと気軽に、そしてもっと簡単に“地毛”を活かした素敵なデイリーライフを送るためのお手伝いをします。

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