海でつながる高校生たち – 竹芝×大島 高校生交流事業レポート

 2025/07/18

2025年7月12日(土)、港区芝地区総合支所が実施する「竹芝プロジェクト〜ともに繋がる未来へ〜」の一環として、都立芝商業高校と都立大島高校の交流事業が開催されました。

この取り組みは、竹芝と島の高校生たちが、「海洋ゴミ」をテーマに、対話と体験を通じて関わりあうことで、交流を深めることを目的としています。

今回はこの交流事業についてレポートしていきます。

島ならではの、あたたかいお出迎え

当日の朝、竹芝桟橋を出発した芝商業高校の生徒さんは、岡田港で大島高校の生徒さんと初対面を迎えました。

スタッフが用意したウェルカムボードに加えて、大島高校の生徒さんが自作のボードを持ってサプライズでお出迎えしてくれるという、心温まる場面からプログラムがスタートしました。

全員揃ったあとは、まずは最初の目的地の元町港に向かいます。
初めて伊豆大島を訪れる芝商業高校の生徒さんたちは、車窓から見える海や山の風景に目を輝かせ、これからの一日に期待をふくらませている様子でした。

心を近づける、ウォームアップ

元町港では、今回講師としてご協力いただいたchigoohagoo(ちぐはぐ)の浅沼みやさん・長瀬なつみさんと合流しました。

はじめに、港区芝地区総合支所 協働推進課の前原さんよりご挨拶をいただき、「竹芝と島を繋ぐ交流は、港区としても長くあたためてきた取り組みなので、今日がとても楽しみです」と、あたたかいお言葉をいただきました。

続いて、今回のワークショップ設計をご担当いただいたフロンティアコンサルティングの松岡さんの進行で、トランプを使ったウォームアップがスタート。
自己紹介や好きな夏の食べ物の話から始まり、大島の自然の魅力や、そして「なぜ海洋ゴミが減らないのか?」といった社会的な問いへと、段階的に会話を深めていきます。

「置いていたものが飛ばされてゴミになるのでは?」「ゴミ箱がいっぱいで、正しく捨てられない場面があるかも」といった声があがり、生徒一人ひとりが自分の経験をもとに意見を出し合い、自分ごととして考える様子が見られました。

綺麗な海とは裏腹に、溶岩のすみに潜む海洋ゴミ

次に訪れたのは、ビーチクリーンの実施場所である長根浜。
ここは、溶岩が広がる独特の地形を持つ海岸で、一見すると美しい景観が広がっていますが、実は多くのゴミが岩のすき間に隠れています。

ちぐはぐのお二人から、大島のゴミ分別や海洋ゴミの現状についてレクチャーを受けたあと、チームごとに清掃活動を開始。大島高校の生徒さんに先導されて、芝商業高校の生徒さんも慣れない磯場を軽やかに登っていきます。

変形したプラスチック片や、海外から流れ着いたペットボトル、割れたビンなど、たった20分間で十数袋分のゴミを回収することができました。

活動中、偶然通りがかった島民の親子が一緒にゴミ拾いに加わってくださる場面もあり、私たちの取り組みが周囲に広がったことがとても嬉しくなりました。

島の食材が詰まったお弁当タイム

ビーチクリーンのあとは、伊豆大島のコワーキングラボ 「WELAGO」へ移動し、ゴハンヤコンさんの特製弁当でお昼ごはん。
島の食材をふんだんに使ったお弁当を囲みながら、生徒たちは自然と打ち解け、アニメや趣味、島の暮らしについて和気あいあいと語り合う様子がとても印象的でした。

午後のワークで広がる視野

午後は芝商業高校ひがた部の活動紹介からスタートしました。
竹芝干潟の環境保全に取り組む様子や、マイクロプラスチックを使った啓発活動、そして様々な世代に活動を知ってもらうための絵本づくりなど、生徒さんたちの工夫と熱意が伝わる発表に、大島高校の生徒さんたちも真剣に耳を傾けていました。

続いて、chigoohagooのお二人による講演が行われました。
日頃から島内でビーチクリーンやフリーマーケットなど、地域の方々と連携したエコ活動を続けているお二人からは、「なぜ私たちがエコ活動に取り組んでいるのか」という想いを共有していただきました。

特に印象的だったのは、「無理をせず、できることから始めることが大切」というメッセージです。実践を重ねてきたお二人だからこその言葉に、生徒たちも強く心を動かされたようでした。

プログラムの締めくくりは、1日の活動を振り返るリフレクションワークです。
「リフレクションマッピング」と「クエスチョンラッピング」という2つの手法を用いて、自分自身の気づきや学びを深めていきました。

まずはリフレクションマッピング。
今日1日の出来事を振り返りながら、自分の印象に残った場面や、心が動いた瞬間を思い出し、ワークシートに書き出していきます。

続いて、クエスチョンラッピングでは、同じチームの相手に対して「これからも考え続けてほしい問い」と、一言コメントをプレゼントしました。
一言コメントには、「これからもお互い頑張ろう!」といった前向きでポジティブな言葉が並び、お互いの関係性が深まったと感じる場面でした。

大島と竹芝という異なる地域で育った高校生同士だからこそ、相手との違いに触れ、あらためて自分の考えを見つめ直すことができたようです。

つながりが芽生えた、別れの瞬間

帰りのジェット船の出航が少し遅れたことで、幸運にも自由時間を取ることができました。「一緒の車で移動したい!」という高校生の声に応え、同じ車に乗って地層大断面まで向かいました。
ジオパークならではの壮大な景色を眺めながら、東京諸島の島々を一望する体験は、芝商業高校の生徒たちにとって島に来た実感をさらに深めるものとなったようです。

いよいよお別れの時。
高校生たちが自らの携帯を手に集合写真を撮る様子や「絶対にまた来てね!」と声を掛け合う高校生の姿に、今回の取り組みの価値を実感することができました。

今回の竹芝と大島の交流事業では、都市と島、それぞれ異なる環境に育った高校生同士が一緒に過ごす中で、違いをおもしろがる気持ちを育んでくれました。
短い1日ではありましたが、今後につながる確かな種となる時間だったと感じています。
この交流が来年以降も継続され、東京諸島の玄関口である竹芝を起点に、島と都市のつながりがさらに深まっていくことを心から期待しています。

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